展示ディオラマ2012S2012/08/02 23:23

さて本日はワンフェスに展示したディオラマの紹介です。今までだと持ち帰りのとき壊れて帰ってきますが、今回のものは強度を高く作ったため、破壊されずに持ち帰ることができました。この製作法は今後も使えるようです。
題名 「離れの夏模様」

撮影は外で行いました。元々が外までつながる内容から、外での撮影が適しています。一枚目は真上から見た様子。大きさは 600 x 250 の土台に乗せています。
神姫がいない状態での和室、四畳半です。四畳半は半畳の需要を見る目的と、大きさの都合のふたつから決まりました。円形の格子窓に障子がつき、小さな床の間があります。当初は茶室のつもりでしたが、茶室でこうした和室の形式をとると、茶室としての例外が多い設計になるため、炉を切らずに単純な和室としました。
こちらが庭の設計。庭に縁台を置ける広さと、池を用意しました。ちょうど離れの小部屋に入ってくるように庭が続き、壁が一枚外に出ているのは、雨除けの空間で部屋が屋根より少し奥に入っている様子を示しています。
小物と神姫を配置し、全体はこのようになりました。ワンフェスで行っていた展示とは小物の配置が若干異なります。
小物が少々過剰ですが、商品が売り切れるとどんなものだったのかわからなくなるため、展示に置いて見本を残します。この撮影ではチョコバナナとりんご飴を使っていません。本番では無理やり和皿の上に置いておきました。
甚平とビールの夏一番なクール美女。
ビールは量産モデルを持っています。泡の盛り方がイメージ重視で大盛りになっています。足元のアイテム、まずかごはワンオフモデルで、アクセントに置きました。足を乗せるすのこのようなものは、涼しさを演出するため竹を使い、ひんやりするような印象を持たせました。これがリアルにあったら、はだしで乗ると気持ちいいことでしょう。実はこういった周辺のアイテムは、考えるのがとても難しいです。
ひざの梁に見える部分に桟が敷いてあるのは、本来ここに障子があることを示しています。何気に細かいところを意識しました。
フランクフルトとビールの組み合わせは強力です。蚊取りぶたもちゃっかり存在。浴衣は販売したものと同型の試作品です。後ろに見える床の間の盆栽と掛け軸ですが、冬に使ったものを流用しました。掛け軸の書は姉による直筆です。
立ちの浴衣と緑が映えます。付属の巾着を持っています。浴衣と巾着は商品と同じです。うちわは中物として販売しました。履物は去年の浴衣に付属したものを使用しています。本当は別売りも考えたのですが、時間的に間に合いませんでした。
縁台美人の図。縁台は小物の見せ場であります。浴衣は他と同じく商品と同じです。履物はさきほど同様、昨年のものを使いました。この角度だと水ヨーヨーが目立ちにくいですが、アイスと合わせていい味を出してくれました。縁台は今年新造しました。商品と同じです。
展示だとあまり目立たないのですが、めがねは私の自作品です。
正面からもう一枚、試作のグラスを置きました。本番では蚊取りぶたの中に蚊取り線香が入っていましたね、入れたほうがよかったかもしれません。グラスは新たな計画を考えており、以降商品になる可能性があります。
見せ場のひとつでもある池です。緑を配し、涼しさと情感を出しました。石は私のコレクションから使いました、といっても、普段は庭に敷石として存在しています。コケがついていい味を出しています。あまりやるとしつこいと思われ、この程度にとどめました。
池は深さがありますが、ディオラマ台の高さを利用して作っています。ディオラマの台がただの薄い板というわけにはいきません。通常は高さのある台を作ります。ディオラマの台は 20mm 、池を置くにはちょうどよい深さになります。
中には金魚が四匹、金魚を飼っている人間なので、形やら色合いはリアルでしょう。見慣れていますからね。下から透明テグスで支え、浮いているように見せます。
水面は透明プラ版・・・もといスーパーで売っている弁当の透明なふたが材料で、石の近くにアクアペイントという波をつけるための透明樹脂を重ねました。本来この池でこのような波の立ち方はないけど、水の存在感を出すためにやっています。
透明な板で池を覆えば当然下には手が出せなくなってしまいますから、池の水面より下は別パーツ構成で、下から入れるような仕組みになっています。池の内部は粘土を荒く盛り付け筆塗りし、小石を入れました。基本は鉄道模型用素材ですが、底の大きめの石は、近くの公園の地面から持って来ました。使えそうな素材は必ずしも店にあるわけではありません。
私にとって挑戦だった格子丸窓、障子も開閉する仕組みです。障子は冬のときに作ったノウハウをもとに作りましたが、窓は考え抜きました。作れば何てことないものですが、考えるにはかなりかかったかな。
外から中を覗く。格子は壁の中に通っています。これが非常に重要です。
障子を閉じて外から光が当たると、美しく影の映るところが格子窓のよいところです。これだと光の角度が悪いですが、真後ろから入ったとき、格子の影と障子が美しく合わさるよう設計されています。
最後に、床の間の高い段には中天井が黒で存在します。床の低い部分の色に合わせてあるのが大切です。このあたりは建築の資料を見てやり方を研究しました。まあ、この和室を作るにはいろんな建築資料を使っているんですけどね。

とても長くなりました。展示ディオラマ三代目、こんな感じです。
展示ディオラマにはただ単に見てもらう目的より、商品の見本を置くことや、商品の質の裏打ちを行うこと、私自身の技術を高めることに目的があります。どんなにいいフィギュアを作っても、仕上げの塗装が雑ではフィギュアの信頼性が落ちてしまうのと同じで、商品を置ける空間まで演出できることが作り手としての必要条件だと思っています。この小物や家具が、ただ単にフィギュアを並んでいたら、あくまでそれはフィギュアのアクセサリーにしか見えないでしょう。展示の中で作品に昇華させることが、品質の裏打ちになると考えています。