Uソファ 新製作法2018/03/19 22:25

前日に書いている通り、これは10日巻き戻しで書いています。委託で出している家具はあまり変化がありませんが、実はこれには事情があって、Uソファの材料をなるべく早く、多めに消費したいのがあります。Uソファの材料は、まとめて業者切りをしています。本来なら買う時にJ本で切ってしまいたいところで、実は床と壁のセット用に買ってあったMDFが余っている現実があり、それが経年で曲がってしまいました。初期のころは、全部切ってしまおうと考えず、まず210mmで切って、あとは手で切り出せばよいと考えていました。ところがこれが大変な作業な上、壁の試作は早い段階にできても、床の最終仕様が決まらず、開発に時間がかかってしまいました。その間にMDFが曲がり、曲がりの大きい部分は壁として使えなくなってしまったのです。その余っているMDFを有効活用するため、Uソファの材料にしています。この長さなら曲がっていてもそれが出ることはなく、表面の多少の変色も問題になりません。これが早くなくなるよう、Uソファを委託で売っています。
ただ、これを手で切るとなると難しくなります。5.5mmの厚みのものを手でのこぎりで切ると、垂直にきれいに切れない可能性があり、最初にPカッターでガイドをつけてからのこぎりを入れるため、切断面が少しだけ二段になり、見た目もよくありません。一度持ち帰ったものをJ本で再び切ることはできず、道具や工具室を借りてやるにもいい環境はなく、結果、安い値段で業者に頼むことになるのでした。持つべきものは友。
しかし、金属加工業者にMDFを切れ、となるとこれまた無理もあって、切った裏側が部分的に持っていかれ、片面がきれいに仕上がりません。そこは安く切っているリスクゆえ、パテ埋めします。パテ埋めで完全にきれいにするのも難しいですが、塗装すると気にならない程度には仕上げることができて、パテで済むなら安いものです。ラッカーパテなんて、たった数百円ですからね。J本で切ると一発50円かかり、それより業者切りは安くなるようやってもらっていて、パテと自分の手間賃を入れて、まぁ、どっこいどっこいでいいかと思います。最終的にUソファになって売れれば、十分な利益にはなるのです。
今回から試しに、Uソファの座面の塗装をエアブラシでやってみることにしました。塗装にはファレホを使っていて、水性塗料のエアブラシは久しぶりになります。いつもはスポンジ刷毛を使って手塗りをしています。比較的きれいに塗れて、あまり筆跡も残りにくいのがよいのですが、刷毛塗りは薄く塗ってもそれなりに塗料を食われ、スポンジ刷毛は仕上がりが良い分、スポンジに塗料を大量に吸われる欠点があります。ファレホは高い塗料ですので、塗料を大量に持っていかれるのは経済的ではありません。その点、エアブラシなら、逃げてしまう分はあるけれど、塗膜は薄いですし、無駄は少なくなるでしょう。問題は、広い面積を塗るのに適正が低いことでした。でも、試しにやってみなければ、どうなるかわかりません。
わかったことは、一度になるべく多く塗らないと作業性が悪いこと、色によって隠ぺい力が異なることでした。水性塗料はラッカーほど早く乾きません。そのため、両面を塗る必要があるUソファでは、まとめて作業し、最後のものが塗り終わる頃、最初に塗った物が乾いている状況にする必要があります。塗りに必要な回数は、塗料によらず三回です。二回で色がのりまずが、ほこりも入りやすく、軽く乾いた状態を1500番で仕上げ、三回目が仕上げです。
隠ぺい力は、赤が予想通り、高くありませんでした。赤に黒いほこりが入ると、隠すことは難しいレベルです。板の側面は500サフで表面をならしてありますが、サフ色が隠れるには赤だと弱いです。ファレホは水性塗料の中では現状もっとも隠ぺい力が高いはずですが、それでも赤はやっぱりきついです。まぁ、水性アクリジョンよりかはいいですから、そこは納得するしかないでしょう。ラッカーでも、クレオスのGXハーマンレッドくらいです、まともな隠ぺい力を持っている赤というものは。そもそも水性でやっていく必要性はこれっぽっちもないんですけど、ファレホの色の揃えはペンキに近く、家具製作には理想的です。混色ではロットごとに色が変わってしまいます。今後考えている塗装型家具でも、基本はファレホで塗って、材料の保護にラッカーで仕上げるようにしたいです。保護だけは欠かせません。水性塗料で塗った材料を重ね合わせて袋に入れておくと、必ずくっついてしまいます。Uソファは重ねて入れないので、保護は必要ないだけです。
塗りの家具は考えないといけません。やっぱりね、そうやって商品を増やさないとやっていけない時代に来てしまったのです。