別冊ゲーマー魂 第1号2017/11/19 23:10

別冊ゲーマー魂第1号の紹介をしておきましょう。
ゲーマー魂がきっちりしたテーマを決めた分析なのに対し、こちらは読み応えのあるものでも、レトロゲームについて様々な話題に触れてみようというのが特徴です。この数年で同人誌を買い集めながら、小さな題材でも本にできると気付きました。特に、個人の体験を元にした同人誌はとても面白いものでした。ただの体験談、と思われそうで、実際はとても深みを感じます。ただの客観的資料からでは見えない部分が見えてきます。例えば、1980年代に中学から高校時代を過ごし、大好きなゲーセンに通っていた女の子の話は、なかなか知ることのできない事情を見せてくれます。1980年代のゲーセンはまだまだ男の世界で、その頃の様子を書いた男性著者の本はいくらでも出てきます。その中に女の子がひとりゲーセンにやってくる感覚は、体験談でも聞かない限り知りえないことなのです。社会とは個人の体験の集合体で、個人体験を紐解いていくことが、よりリアルに当時のことを教えてくれます。これはとても大切なことだと思いました。
そして、よく考えれば私もファミコンブームを生で体験し、支えてきた熱心なファミコン少年でした。それがあるから今があり、今では伝説として語られる高橋名人やらファミコン漫画やら、それを自分で体験してきました。それは、私は知っているけど、若い人は知らないし、世代も5歳違えば様子は変わります。そんなことを少しでも、私の経験を通してどう見てきたのか、語り部として話を残すことも意味があると思いました。逆に言えば、話さなければ何も残らないのでもあります。
そうして語り部をしようと思い立ったのですが、語り部だけで一冊にまとめても少し足りない感じもあり、今後シリーズ化したいこともあって、ゲーマー魂には入れられないけど面白い話題も入れて、一冊にしました。ゲーマー魂をブランド化するため、別冊ゲーマー魂としました。ゲーマー魂と書いている人は同じですから、読んでも感覚は似ていると思います。このシリーズの本質は探究心の具現化とも言え、ひとつ筋は通っているでしょう。
最初のコーナーは、レトロゲーム界のレトロじゃないアイテムを紹介しています。近年はこうした管理のためのアイテムや、互換機、アパレルやらグッズなど、かなりの数が出てくる時代になりました。今回は、レトロゲーム復活剤と FC POCKET の紹介をしました。知る人ぞ知るアイテムだと思います。レトロゲーム復活剤は、その効果を実験で試すことまでしまして、短いながらも説得力のある記事になりました。やっぱりこういうアイテムが知られて売れてくれることが大事です。
漫画「あさりちゃん」に見るファミコンブームと題しまして、レポ寄りな内容も掲載しました。これはいずれどこかで書きたいと思っていたネタです。単純に紹介するだけでなく、これを資料としてどう読み取るのか、ちゃんと文学部らしい考察で書いています。作品の紹介の仕方も、しっかり文学部としての基本を守っております。読んでみて、よくこんなものを見つけてくるよねという内容になっています。
語り部は最後に配置しました。最初は紹介物にして、最後にしっかり読んでもらうのが目的で、順を追って記事は中身が長くなるようにも配置されています。内容は二本立てで、最初がファミコン攻略屋から始まるゲームライフ(ファミコンからスーパーファミコンへの移行期)と、ファミコンとおじさん、となっております。これね、最初からファミコンとおじさんのことが書いてあったら、この本を読みきる前になえます。その辺はしっかり考えました。
この記事は、どうやって書こうか、かなり迷いながらまとめていきました。体験談を書くとき、だからどうしたの ? で終わる内容では困るわけで、読み終わった後、そういうことがあったのか、そういう時代があったのだねと、説得力が必要です。何を書くかは案外とすぐ思いついたのですが、書き進めながら方向をまとめていくには時間がかかりました。

この本があったおかげで、仕事量は増えたけれど、結果的には効率的だったようにも思います。ゲーマー魂とはまた違った書き方ができるため、気分転換のために書くことができました。それと、書けるものの幅を広げることができ、今後のやり方を増やすことができます。受け入れてもらえるのか問題はありましたが、売れてくれて次がつながります。コピー本ながらもしっかり作れたのも、自分ながらに満足できました。J本で作れたからこそできた品質です。その辺のコピー機では紙が薄くて、両面コピーには適さないのです。あんまり見た目が悪いと、本として品質が悪くなります。300円で売っても買ってもらえる内容と品質を用意しないと、その先に続かないと思いました。一方で中綴じ本としては限界を感じました。ページ数と紙の厚みで、今より厚く作ることはできません。
次は何を書こうか、もう考え始めています。5月もやるなら、今から書かないと間に合いません。今は書き終えて満足してしまっているところがあって、それではいかんなと思います。それと、なるべく時間をかけないで本を書けるくらいの速筆を手に入れたいのでした。