模型ホビーショー 50.22010/10/22 21:43

第50回全日本模型ホビーショーの報告、二回目は「城」です。最近姫路城を完成させた影響や、その前の上杉謙信のモデルなど、風景を作りつつモデルを作るのが流行になっていまして、やっぱりそうなれば城に限ります。
城モデルの魅力として、日本固有の建造物というのがあげられます。もちろん、そうでない城モデルもあるにはありますが、ここでは日本の城をテーマにしましょう。日本人だからこそわかるもの、それが城にはありまして、そこを研ぎ澄ませて作る感覚は、他のモデルに存在しません。城モデルというのは、やはりいい形で何かを教えてくれているものだと思います。

会場に入ると、城と甲冑が出迎えてくれます。童友社の製品です。以前はあまり認識していませんでしたが、城はスケールで印象がかなり違うものだと思いました。小さいものはお土産用という感じで、大きいものは情報が緻密になる分、城の構造や装飾に目が行き、作るための知識も重要になってきます。建築物ですから、その様式や構造は特徴がありますので、大きいものほどしっかりした知識がないと形として完成しないでしょう。知識の量に応じて、作れる城も大きくなるというところでしょうか。
甲冑は以前より商品が増えてきました。甲冑や刀が、実用としての武器以外に、飾っておけば権威を示すひとつの象徴であったことが、こういう飾り方をすると何となく感じられます。色彩豊かな安土桃山のものは特に美術工芸品としての価値を感じます。まあ、これは模型ですけどね。

こちらは童友社による作例です。さすがは本家、作りこみもかなりのものです。木だけでなく、草もあります。現在の様子に近いものを作るため、人や道なども配置してるのがすごいです。この大きさの人とか、どうやって手に入れたのか、はたまた作ったのか、よくわかりませんがおそろしく緻密でなんともいえません。姫路城は石垣を彫っていますね。しかし、彫った方がより実感に近いものを作れるのだから、最初から彫った状態のものを金型で用意してくれないかと思ってしまうのですが、だめなんでしょうか。彫るためには専用工具が必要なんですよ。私は持っていますが、手間を知っているので覚悟がいりますね・・・。

こちらはFUJIMIの姫路城。童友社のものより広範に再現されています。スケールは童友社のものと同じ1/500で、価格も同じ。FUJIMIでも城モデルをいくつか出していますが、この大きさの姫路城は初めてのようです。金型が最新なはずですから、組みやすさや精度も高くなっているでしょう。

昨年はレーザー加工で作られた木のモデルの存在を紹介しましたが、それを作っているのが Woody JOE という会社。姫路城もちゃんとあります。さすがは木の模型会社、石垣も木の質感を活かして木製です。レーザーで木を切っているだけあり、造形もシャープで精密ですね。
しかし大きさが大きさですので、置き場を考えると木のモデルに接するのは難しい・・・と思っていたら、小さいモデルも登場してきました。実にいい味があります。塗装してあるようです、と言うより染めてあると言った方がよいでしょうか。おそらく部品の段階で色が着いていると思われます。興味深い商品です。

同じく Woody JOE より船たちです。瓶詰めの船、それはウィスキーを空けた後のもうひとつの娯楽としてどこかの国で発展しました。子供のころどこかの家で見たことがありますが、当時はどうやってこの船をビンに詰めたのか不思議で仕方ありませんでした。なんてことはありません、部品をビンの口から入れていって、ビンの中で組み立てるのです。それにしてもこれを組み立てる根気といったら、私には自信ないですね。なお、ボトルシップは「こち亀」でもネタとして取り上げられています。何巻だったかな、非常にマニアな内容なのは言うまでもありません。
黒船、こちらもお手軽サイズです。必要なものが一通り詰め込まれています。エッチングパーツ付とは恐れ入ります。レーザー加工が切れ目だけでなく、甲板の模様にまで使われているとは、見事な工夫です。

昨年にはGSIクレオスより熊本城が出て、城カラーという塗料まで発売されました。城はいつでも旬ですね。今の都市というものは、安土桃山から江戸にかけて、城を中心に組織され、作られていきました。今、当時の城の役割を果たしているものは市役所なり、地方自治体の役場ですが、それが昔は城だったということです。つまり間違いなく、歴史はつながっています。城の持っている歴史的な意味は日本人でないとわかりにくいものですから、そんな感覚を持ちつつ、城モデルに触れている私でした。外国へのみやげに城モデルは喜ばれるんじゃないかと、ひそかに思っています。もちろん、ちゃんと完成させてから渡しますよ。