古民家というもの2012/02/01 23:02

本日強風と材料の問題で展示用ディオラマの廊下については材料入手の間まで保留となりましたが、無事家の方は完成しました。
今回のテーマは古民家です。古いけれども立派な作りの民家です。書籍による調査、実際の古民家見学など資料を集め、現実的なワンフェスでのテーブル占有面積、さらに展示の中で置く家具などの紹介場としての機能も考え、十分時間をかけて設計しました。問題がなかったわけではありませんが、限られた時間と費用の中で今回はどこまで作るのか、折り合いをつけながら製作しました。個人的には設定していた目標に到達でき満足しています。見つかった課題は次から解決すればよいのです。
障子のある側に廊下が付きます。これは空間の広がりを感じさせるためのもので、あるのとないので印象は大きく変わると思いますが、ひとまず今はおいておきます。大きさは一番長いところが 543mm 、この大きさだとワンフェスの机の幅、1800 x 600 mm に無駄なく入ることができます。だから、手前の柱のない側からお客さんは縦長に見るのだと考えてください。
正面より奥を覗きます。床の間のある奥の部屋がひとつの見所となりますが、手前六畳間にはこたつが配置される予定です。部屋の仕切りは本来ふすまが入るところですが、見易さのため省略してあります。ただ、梁には桟がついており、ふすまを通すことは可能です。仕切りの天井に近いところは、窓のようなあきになっています。障子側も同じです。これは実際に見学した古民家の作りを参考にしました。
上面から見たところ、ほぼ間取り図です。床の間の天井はつけるべきか悩みましたが、やはり天井があると暗いため、光をとる目的でなしにしました。本当はLEDで照らしてもよいのですが、ちょうどいい黄色のLEDがありません。わざわざ買うのも難だし、もともと明るいワンフェスの会場で微妙な照明効果は期待できないでしょう。なお、六畳二間は会場のテーブルの大きさから決まりました。理想は八畳だけど、それやるとテーブルから落ちます。
内部より床の間を見ます。床の間は段つきで、それぞれ装飾品が置かれます。こうした床の間の作りは書籍資料がかなり活躍しました。
見せ場のひとつ、障子です。緻密な組み木加工は前回では不可能でした。もちろん開閉可能、かつ上に持ち上げたのち引き出せば取り外し可能になっています。
10mm の柱に障子を三枚通すには、1mm 角柱を使って桟を作るしかありません。この加工は非常に苦労しました。でも動いたときの感動といったらありません。
ふすまは前回も作りましたが、改良されました。まずは桟に通す部分をちゃんと作り取り外し可能にしたこと。手を入れる金具にあたる部分は穴を開け、自分で金具の代用品を作ったこと。これは湯呑みと基本的に同じような作り方をしました。パイプに底をつけて、短く切る方法です。あとは表面紙の重なりをなくし、見た目にしわができない仕上がりにしました。手間は前回より減っているのに、見た目はよくなるという、これが改良の力です。
部屋の仕切りにはふすまが、前六畳間の廊下側には本来障子がある構造ですので、作ってはいないけれど桟だけは用意しています。もちろん、二部屋の仕切りは天井側の桟も目立たないけど作ってあります。微妙なところまで作っていますが、ないとむしろ物足りない、そういう部分です。
最後に神姫との大きさ比べ。古民家ということで障子やふすまの高さを低く設定しました。また、それらが共通の梁の高さで支えられているのは、古民家の造りのひとつであります。

柱などの古木染も大切な要素のひとつです。柱が新しいと古民家という感じがしません。古びた感じをうまく出すため、柱や梁は古木染にしました。やり方は・・・秘密です。家具や装飾がないためさっぱりしているけれど、ここが展示場ですから、本番に向けて整えていきましょう。ああ、もちろんここにすべての商品を置くわけではありません。商品は商品で棚に陳列しますが、これは演出ですね。