小物作りに潜む罠2012/02/24 16:28

昨日は眠すぎてやられました。それでも買い物に行って縁台の材料を仕入れてくるなどやることはやっております。
さて、夏の小物アイテムに「生中」を入れようかと思っております。生の中学生ではなく、生ビールの入った中ジョッキであります。小物カテゴリーなので、値段は低く、できるだけ簡単に作りたいですが、考えることもたっぷりあるのです。
本物の中ジョッキ、さて大きさはどれくらいでしょう。
私の使っている湯呑みから比べると、実はそんなに大きくありません。高さはありますが、直径については大きく変わりません。で、この湯呑みはうちで今回作った湯呑みの基本サイズです。つまり、この湯呑みを縮小してあの湯呑みを作った、こういうことです。じゃあ、このまま中ジョッキを 1/12 すれば売れるでしょうか。まあ、作れば売れるでしょう。でもイメージとしてはとうでしょうか。おそらく、多くの人が小さいと思うはずです。
飲み屋の中で見る中ジョッキは比較対象が普段使っている食器と違い、グラスなどになります。そうするとカクテルグラスから比べればかなり大きいし、何より持った感覚、飲むときの感覚は日常にはない大きさに感じます。ところが実際は、背の高いマグカップに大きなもち手が付いた程度で、並べてみれば湯呑みと直径はほとんど変わりありません。

この湯飲みは 200ml 入ります。入れてもすりきりではなく、余裕があります。人の胃袋はそんなに大きくありませんから、350ml 入るようになるとそれでも十分な量が増えたことになります。それが、小物サイズにしてみると、人間は普段よりも超客観的に大きさを見ることになり、体感が外れて、案外こんなもんなのかと見えてしまいます。この体感が外れるところが重要です。
小物作りは、体感で外れた部分を大きさで取り返します。実際は湯飲みと直径がほぼ同じでも、それより明らかに大きくして、中ジョッキは「大きい」と感じるよう作ります。不思議とその方が自然に感じるはずです。そんなわけで私は 6mm よりも太いパイプを材料として買うことにするのでした。
リアルに縮小することよりも、イメージ優先で縮小する、1/12 は実のところ目安にすぎません。スケールにこだわりすぎる人は、小物作りに向かないと思います。多分その人は、模型作りの方が適していると思います。建築模型は縮尺優先なら、ドールハウスはイメージ優先、そして私のやっている世界もイメージ優先です。私はこういうことを商売のコツだと思っております。棲み分けです。

ドールハウスと私のやっていることの違いは、量産するか否かです。ドールハウスは一点もので作品を成しますが、私は量産できないと話になりません。一点だけ作るなら手段も素材も自由に済みますが、それが100個作れるかとなると、話は違います。
こういうことを地味に積み上げながら量産型マンドラゴラは成り立っております。まさか量産という言葉がここまで我らのテーマになるとは当時思ってもいなかったのですが。