レジンキットの気泡処理術2018/09/26 22:12

胃と腸の両方が悪く、かなり深刻で、ほぼ寝ていることになりました。夕食が普通に食べられず、おかゆにして食べました。体調が悪いだけで何もない一日のため、また適当なネタを持って来ました。レジンキットの気泡を埋める術を紹介しましょう。

レジンキットの気泡には、主に二種類あります。ひとつは空気が入ってできる空洞です。これはキットの隅にできることが普通で、大きな場合はレジンの塊を埋めて修正したり、パテ埋めします。あまり修正に苦労はしません。もうひとつ、湿度による気泡がやっかいです。レジンで成型する時に湿度が高いと、化学反応を阻害するのか、気泡が入ります。これは内側でも入るもので、雨の日にやると、エアインチョコのような、スカスカの成型物が出来上がります。
レジンは成型前によく混ぜる関係で、空気中の水分が入ってきてしまうようです。レジン成型はなるべく湿度の低い日にやりたいところですが、イベントまで時間がない、ぎりぎりなんて時には、雨でも流し込まないといけないし、大掛かりな作業ゆえ、休みの日にやろうとすると、湿度が最適でなくてもやらないといけません。それぞれ作る人にも事情があります。
この気泡は非常に小さなもので、表面にできると微小なへこみとなります。灰色サフを吹いてじっくり見ると、あからさまな穴となって出てきます。更に、サフ吹き程度では穴を完全に埋めることは困難です。おそらく、穴が小さすぎてサフが入らないからと思われます。塗装すると非常に目立ち、これも下地作りで処理しなければなりません。でも、どうすれば簡単に直せるでしょうか。
世間一般では、ラッカーパテや瞬間接着剤での処理が奨励されています。しかしこの方法では、確実性がありません。パテや瞬間接着剤が穴にうまく入ってくれない事態が生じる上に、削るのもやや面倒です。特に、瞬間接着剤は固く、削る時にレジンを持っていかれます。そこで私が考えたのがこの方法です。
気泡を1mmのピンバイスでほんのり浅く掘り、穴を大きくします。穴を大きくするのが目的ですので、穴を深くしてはいけません。切れ味のいいものほど注意が必要です。
わずかなへこみは、キット表面に光を当てて反射させながら、丹念に探していきます。大きな手間のようですが、大雑把にパテを表面に塗るより効率的です。適当に探さないで、例えば人のフィギュアなら、腕の部分だけをまず集中的に探すなど、エリアで区切ります。見つけたらすぐピンバイスで掘ります。道具の持ち替えもなく、案外やり出すと早く進みます。
このキットはかなり穴が多く、このようにぼこぼこになりました。でも、穴が大きければパテが入りやすく、このように目立ちます。埋め逃がしをする可能性も確実に減ります。急がば回れでしょうか。
その前に、こいつ服を着ていないのでは・・・というと、全裸です。肌色の塗装実験をしたくてワンフェスで買いました。最初は水着で適当なものを探していたのですが、安くて手ごろなものを見つけられませんでした。そこで、R18コーナーに行くと、3000円で全裸があるじゃないですか。ロリボディE18というものです。いろいろなボディがあって、まだ在庫があった中から、塗装と組み立てがやりやすいものを選んできました。版権ものではなくオリジナルなのも魅力でした。
すべての気泡を拡張してから、いよいよパテ埋めに入ります。使うのはタミヤの光硬化パテです。ええ、高いです。普通のチューブ入りパテの大きさで、1200円くらいします。今はもう少し高くなっているかもしれません。このパテにはヒケがなく、穴に入れるにも適度な粘性をしています。直射日光を当てたなら、10秒程度で固まります。電器スタンドでも1分くらいです。
光で固まるなら、作業は暗闇でやるのかというと、そうではありません。やや暗い程度の場所なら大丈夫です。チューブから少量出し、竹串の先を少し切ったもので、ひとつずつ穴を埋めていきます。キットを持つ部分が不便になってきたら、光を当てて固めます。とにかく早くできる、ヒケがないのは最高です。これはまさに、レジンならではの方法でもあります。
光硬化パテは、硬化した後にラッカー系溶剤でふき取る必要があります。表面にパテの成分が液状になって出てくるので、それを溶剤でふきます。プラモでは、溶剤がプラを侵食してしまうため、そう簡単にはできません。このふき取りだけが唯一の面倒なところです。それをもっても余りある利点が多く、使う価値が大いにあります。
穴を埋めたら削って整えましょう。光硬化パテは適度な固さで、周囲のレジンを大量に持っていくこともありません。なるべくピンポイントでパテを最初に落として、それから周囲にやすりを入れて整えます。いろんな形のやすりを持っておけば、こういう時に重宝します。
写真のように、きれいに埋まります。やっていると、どうしても一発でパテが入りきらない場所も出てきます。少しだけ足りずに穴が残ってしまうなどです。そうならないよう、なるべく穴より多めにパテを盛っておくと、失敗は防げます。穴が完全に埋まっていない場合は、パテの削りカスが穴に入り、白くなります。それが埋まっていない目印になり、すぐ修正もできます。
修正するときは、もう一度修正箇所にピンバイスを当てて、穴を開けておきます。穴だけ開けておき、すぐパテ埋めすることはしません。その場所だけが修正箇所とは言い切れず、先に作業を進めていくと、また埋まっていない場所が見つかる場合もあります。ひとまず穴は開けておけば、全部終えてからもう一度パテ埋めできます。
この作業を穴がなくなるまで繰り返します。こうして下地処理されたキットは、完成時の出来栄えが違います。一度サフを吹くと、見つけきれていなかった気泡が見つかる時もあります。その時は随時修正しましょう。ただ、溶剤で拭く関係上、ラッカー系のサフを使うと、サフは取れます。表面が荒れないよう、そこはやすりでならします。
裏技として、水性アクリジョンを最初に吹くと、穴を見つけても修正が容易です。水性アクリジョンはラッカー系溶剤では溶けません。その辺は、最新の工具や塗料の性質を常に探っておくことが重要です。ただし、水性アクリジョンはエアブラシで使うと、大量に塗料を持っていかれます。色によって希釈濃度が違い、扱いは根気が必要です。

こうした表面処理のやり方は、模型誌でも紹介されていません。模型誌のやり方が不便だったため、私が開発したものです。世の中にやっている人がいるとは思いますが、メジャーではないのです。コストパフォーマンスは悪くても、時間は圧倒的に早いので、時間をコストに換算すれば、決して高い方法ではありません。レジンキット初心者の方にもお勧めの確実性があります。どうでしょう、レジンキットに手を出してみませんか。