カレンダーをめくる2013/07/04 20:05

今日は一人で印西へ行ってきただす。やることがいろいろあって、げんなりしました。でもそんなことより、何のためにこうしているのか考えると少しむなしくなりました。だから考えない !
おじさんが入院しているときや、病院を探しているときは、帰ってきたとき次の準備ができるよう、我々でいろいろなことをしてきました。印西からここを更新するときはまさにそうで、たいていそのときはおじさんがとなりでテレビを見ていたものです。入院するのに必要な服を選んだり、買ってきたり、オババの施設の方の必要なものをそろえたり、いつもそれは、明日をつなぐためにひとかけらの希望を持ってやってきました。それが今は誰のために印西の家へ行き、何をしているのかなって、帰る人のいない家の中で、ふとむなしくなったのです。誰のためか、それは他でもなく生きている自分たちのためなんです。死んだ人のためにやれることは、葬儀とお墓まで。それより先は生きている人が、生きている人のために進めていくのです。それがわかっていながら、どうしてもむなしくなる。そいつが人間の性ですよ。そんなものが何の苦もなくやれるなら、そりゃ生きていた人がよっぽど愛されてなかったとしか思えません。わかっていながらむなしくなるほど、本当に大切な人だったんです。堂々と言える、誇りがある、迷いはない。

部屋を探索すると Walkman を発見・・・ちゃんとメモリ式のメタルボディでいいやつじゃないか・・・。Audioテクニカのまあまあなヘッドフォンも発見。どこで使ってたんだよこれ ? 迷わず私の懐に入りました。よく見ると、ベッドのところにあるスタンド、これは私が最近買おうか探索しているのの替わりに十分なる。亡くなった瞬間から私の私物と化したブラウンの髭剃り、メンテ用品と説明書一式も見つけてきました。
実子がほしいものはすでに取っていった。そして残りはこちらに任せると言った。なお、財産管理の関係上実子は遺産の権利を放棄している。つまり、おじさんの遺物はすべて我々の手中にある。ほしいものは片っ端からもらっております。基本的に捨てることはしないつもりです。使っていたものを引き継ぐことで、故人の何かを生活の中に溶かしていきます。問題は薬だ。糖尿のためのインシュリンとかどうしようもないな・・・。

当面の課題のひとつは冷蔵庫。冷蔵庫の中身の整理をしないと、食べられないものがたくさん入っています。入院生活が始まると、食料をほぼ買っていないですから、そんなにないけれどあるものはある。向こうで処理するには泊り込みで、次の日ゴミを出す必要があり、今日は牛乳パックだけひとまず持ってきました。賞味期限が・・・だね。しかし、輸送できるためこっちへ持ってきて処分します。
冷蔵庫を見ると、うちのおばちゃんはすごく嘆くんで、これは私と姉でやった方がいいと思います。入院のために日常生活ができなくなったありのままの様子と、出てきたとき何も食べるものがなくてはどうしようもないための少しの備蓄。何とかしてやりたかった思いがあまりに重い。おばちゃんがそれを見る必要はないと思う。こういう部分、見て悔しくなるなって方が無理だから、みんなで分割しないといけません。

冷静なんだけど、やっぱりつらかった。いいものたくさん手に入るけど、有効活用して、生きる我々が役に立ててあげるけど、こんな形でもらいたくなかったなと思う部分もあります。でも死んでなきゃ譲るはずもない・・・線香に火をつけるからライター貸せと言って、dunhill のライターを借りたら、お願いだからそれはやめて、こっちの安いの使ってと言っていたものが、今はもう、持ち主がいないから私が受け継ぐ。
おじさんも文句はないだろう。誰か知らない人に持っていかれるより、放置されて捨てられるより、大事な人のそばにそれがあればきっと安心するさ。ハイエナと言われるだろうけどね。

複雑。深刻に悩んで落ち込むことはないけれど、どこかにつらさもある。こんな自分でも、住む人を失った家のカレンダーをすべてめくってきた。時は進む。我々すらいなくなったとしても、時は進む。だから、進めてきた、自然のならいで。

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