ワンフェス報告 GK部門 P22010/02/16 01:25

ワンフェス報告、GK部門の続きです。読んでいる人はいるのかわかりませんが、こういう部分をしっかり固めるのがここのblogなものでして、最近は脱力してばかりでしたから、まじめに書いてます。
ところで、私ってかたいイメージあります ? 自分で見て考えたことをうまく相手に伝えようと思っているだけなんですが、理論武装していかないとうかつにコメも出せない空気でいっぱいのようです。でも、普段の会話もこんな感じなので、どうしようもできません。別に感想を求めているのではなく、こういった世界を他の人に知ってもらうことに意義を感じています。こんな趣味の話でもいろんな世界に通じる道があって、「オタの世界」と言い切られておしまいよりずっといいと思っています。

さて、GKを売る人のことを一般的にはディーラーと言いますが、作るだけがディーラーの仕事ではありません。売るのもディーラーの仕事です。ワンフェスは、自分のところで完売してしまっても帰ってはいけないルールがあります。それは、どんなものを売っていたのか、展示見本を残しておくという、展示会の側面を持っているからです。

ディーラーは売るために様々な工夫をします。千差万別ですが、共通している項目があります。まずは見る相手の目の高さにあわせて展示することです。
参加者は通路を立って歩きますが、ディーラーは机にものを展示しています。よく見てもらうには、やはり歩きながら見られる高さにおく必要があります。同人誌なんかはそんなことしません、なぜでしょう。本は表紙を見ればいいので、机に並べてOKです。しかし立体物は全体を見てもらう必要があります。だから、相手が全体を見られる高さに置くのが基本となります。
当然ながら見やすい位置に置くことも大切です。目の高さにあっても、商品が展示BOXの奥にあったら気付いてもらえません、それと同じで、展示物に目が行くように工夫します。

スペースの高さが生かせるイベントですので、展示物にぴったりな演出、光を当ててみることなども大きな要素です。なんにしろ、目を引く工夫をしないと、どんなにいいものを作っても売れません。また、ディーラーが死体になっていてもいけません。前日までレジンで複製していたとかで疲れきり、ディーラーが半分死んでいるようなところでは買うのに声すらかけられませんからね。

作って売るところまでしっかりするのがこのイベントです。それもそのはず、二次創作物の場合、版権元に支払う金額は当日版権申請した販売数にかかってきます。実際に売った数にかかるわけではありません。販売するために生産した数に対してかかってきますから、売れ残りはマイナス計算となります。また当日版権ですと、当日でしか売れません。在庫を抱えるより、値下げしてでも全部売り切ったほうが勝ちです。決して安値で作れないGK、工夫に工夫を重ねる必要があります。

各ディーラーがどんな工夫をしているのか、見るのもひとつの楽しみでした。

GKのことをもっと深く考えてみましょう。GKはふたつの立場があります。原型を作る側と、キットを組み立てる側です。ディーラーは普通、展示見本としてひとつ塗装したものを展示しておきます。どんなにうまく作っても、塗装で失敗すればそれを生かせません。
私は、GKを組み立てることの本質は、塗装にあると考えています。Hobby Japan でカラーレジンを使い、塗装なしで簡単に組み立てられるキットを誌上通販しています。私はこれについて、あまりいい感じを持っていません。なぜなら、それがあまりにも理想だけで作られているからです。

そのGKを作った人は、そのキットを「初心者を越えて入門者向け」としています。そして、組み立てる楽しみを覚えた人がGKの魅力に目覚めてくれることを期待しているそうです。うんざりしました、こういうのを頭でっかちとか、理屈で話をすると言うんですね。

まあ、確かにそうやって目覚める人もいるでしょう。でも現実は、「なんで完成品売らないの ?」「結局面倒なだけだった」「それでもGKはハードル高いよね」で終わるでしょう。そもそも立体製作に興味を持つような人は、こんな入門者向けのものに目を向けず、何かしら興味を持ったものに飛び込んでいきますよ。私がそうでしたからね。だから、入門者向けのものを作っても、入門して終わりでしょう。

今出回っている多くのGKは塗装が必要です。そしてモデラーとしての入り口は、エアブラシを買うことから始まります。それがないと塗装表現に限界があるからです。だから、入門キットで入門した人も、最後はエアブラシに2万円ほど投資し、その後塗料にも数千~万単位で投資する門をくぐれるかなのです。つまり、GKで入門とか初心者とか言うのは間違いで、そもそもGKとは上級者向けなのです。入門してもエアブラシを買わなければ永遠に入門どまりですから。

プラモにしてもGKにしても、組み立てて塗装して初めて完成します。生み出す側は、まずどうすれば立体として完成度が高くなるかを考えて作ります。組み立てる側は、その立体を見栄えよくなるよう仕上げるのです。GKはあまり改造しませんので、GKを組み立てることは塗装することに等しいです。
GKはこの生みと完成の面が非常にはっきりしていて、必要な技術が違います。塗装しながら感じる作り手の思いを大切にするのもまたGKの楽しみ方です。

GK部門の報告、次はどんなものを買ってきたかと、私の作っている原型を少し紹介しましょう。