量産フィギュアを作る2009/09/04 00:34

キャラホビで思いっきり遊んできただけのようですが、そうでもありません。Max Factory でいろいろな話を聞いてきました。そこでは原型師さん自らが商品体験コーナーにいて、お客さんからの反応を見ています。

以前のワンフェスで同じ試みをやっていました。figmaについて見てきましたが、かつてのワンフェスのときは商品化されたばかりで、会社としても手探り段階でした。しかし今では、figmaはお手軽可動フィギュアとして地位を確立しています。

そこで今回は、figmaが目標とする製品の基準について聞いてきました。商品が多様化してくれば技術も多様化しますが、やはり一定の値段で、なおかつ一定の品質のものを作らなくてはなりません。

話の例に用いられたのは以下の3体です。枠線のあるものはGalleryへのLinkがあります。Galleryを見ながら読むことをお勧めします。
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ひざ関節に隙間ができてしまいますね。本来ならこの隙間はない方が見た目も良いし、逆に曲がるのを防ぐLock機構にもなるのですが、微妙な金型の調整上不可能だそうです。自社工場をもたないため、金型の微調整がそこの職人さんの腕にかかってしまい、理想通りの成型は難しいとのこと。
足首は球体関節が理想だろうとお話したところ、球体はやはり精度の問題で難しいとか。もちろん、部品の共通化による低コスト化も問題になります。

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これについては、刀をさやに納めるギミックが泣き所になったそうです。原型師としては刀の出し入れが自由にできる方が面白いと考えるけれど、量産となれば精度が非常に重要な問題になります。さすがにこれは金型製作にレーザー加工を用いたそうですが、コストも大きくなってしまい、上から苦い顔をされたとか。なお、刀のような薄い部品は成型時のリスクも高く、見た目以上の手間や注意が払われているようです。

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進化の中で出来上がったのがこれ、シャナです。ひざ関節を逆方向へ曲げたときに脚がまっすぐなるよう、原型に調整が加わっています。また、髪は軽量素材でできていて、なおかつ髪の一部が横に稼動するギミックが搭載されており、演出効果と相まって荷重を左右に振り分ける仕組みになっています。元となったのは「鶴屋さん」の髪可動ギミックで、このときは前後の動きが中心だったものの、素材も重くて自立が難しいのが課題だったとのこと。それがシャナになって見直され、この技術は後の製品に利用されているとか。

理想とするものを、大量生産という枠の中でいかに実現していくか、価格、技術、さまざまな工夫が折り合いをつけながら作られていました。そしてできあがってきたノウハウが確実に製品に反映されていました。みんなが楽しめる物を作る、そこには忘れてはならないモノ作りの魂がありました。