新しい土地へ2011/04/27 21:58

印西の家の引越しの手伝いに行ってきました。引越しそのものは終わっていますが、荷物を開けたり、片付けをしたり、テレビのアンテナの設定から電話の設定まで、やることはたくさんあります。そういえば退院してから祖母に会うのは初めてだったのか。外へ出かけるときは動きやすいよう車椅子の生活になりましたが、家の中では問題なく歩くし、病院でベッドを行き来しているときよりしっかりしていました。
今まで住んでいた取手の家はこのまま倉庫として封鎖となりました。電気水道、ガスを止め、あそこの家での生活はもうありません。つまり、私が小さいころから何度も行っていたあの家は、思い出と共に消えました。結局は祖母の脳梗塞での入院が引き金となったわけですが、移転計画は数年前より持ち上がっていまして、今は新しい生活に慣れなくて大変だけれども、もともとまったく知らない土地ではないし、すぐになじむでしょう。
介護に手伝いが必要なとき、取手まで車で一時間より、やはり印西の20分には代えられません。それに印西は生活に便利です。あのあたりは未だに「野」が多いです。でかいスーパーとか、電器屋、ホームセンターなどあらゆるものが作られているけど、田畑をつぶして作っているのではなく、草むらに作っています。人の手があまり入っていない平原が多くて、最近になって整備された街であり、道は広いし店はでかいし、それがまとまって存在して、買い物には不自由がありません。車椅子を持って出かけるのにそういう土地は便利です。

思い出の家でいつまでも変わらぬ何かを望んでいたけれど、現実は過酷でした。人が老いる、介護が必要になる、認知症で何かがずれる。物理的な距離は壁となり、便利な場所へ移る。ど真ん中に地震が来て、家の中の整理が必要なのに、病院へ面倒を見にいかなくてはならない母親。仕事の急変に振り回される姉。生活の変化に体が追いつかない私。この一ヶ月はボロボロでしたが、山場は終わりが見え、次の段階に向かっています。
姉は何か厄介な病にかかってしまいました。おそらく疲労が原因でしょう。次の検査結果を待ってから仕事について考えるとか言っているけど、軽いうちに治しておかないとやばそうな気がするんだよねぇ。たぶんあれは体を動かしてはよくないと思うんよ。

思い出は思い出、現実は現実と、みんなあっさりしておりますが、私にはどうしたらよいか考える課題が残されました。ああ、ちなみに、私の母親家族は結婚するまでの人生の間に十数回、親の仕事の都合で引っ越しており、ひとつの土地に対する執着心がありません。今回こうもあっさり引越しが決まったのは、それも大きな原因です。一応、母については松本にふるさとを感じるみたいですが。
で、ひとつは残された取手の家と土地。これは私が将来的に買い取ることで合意しましたが、まともに働けるようになってからお金を作るまで、どれくらいかかるかが問題。人生設計のひとつの通過点です。買えば私はそこに住むから、四街道とはおさらば。ところが・・・と、これはいいでしょう。
二つ目、お琴。祖母が昔習っていたお琴をもう使わないから、私にくれるそうです。ここじゃあまり言ってないけれど、私は結構な音楽人間です。聞き手じゃなくて、演奏したり作る側の方で。ピアノは小学校一年の時から中学二年まで習っていて、今でも弾きます。曲も作るんですが、曲中使うピアノにけっこうクセがあり、そいつを買われてピアノ編曲と演奏の仕事をやったことがありました。そのままプロにならなかったのは、今に続く病のせい。んで、そういうこともあって、周囲からもうやるやつはお前しかいないというわけです。お琴は高いものだから、このまま捨てるのはもったいないし、せっかくなら弾いて欲しいと。うーん、お琴ってどうやって習うの ? 個人で先生見つけて習うのが普通でしょうが、見つけるのは明らかにピアノより難しい・・・。それとも何人かをまとめて教えてくれるお教室かな。どうやって見つけるかねぇ。
第三の問題、祖母が生業としていた技術を修行して引き継ぐか。祖母は革のバッグを作って、個人で商売をしていました。歳で手先がうまく動かなくなってから辞めてしまったのですが、材料と道具が残っています。さすがに革は一部痛んでしまっているけど、商売だったので、材料はたくさんあります。革用の工業ミシンもあり、今のままでは朽ちるのを待つだけです。そこでまた出てくる、お前やらないか説。認知症とはいえ、知的レベルは落ちていませんので、習うことは可能です。それに、そうしてもらうと祖母のために脳の刺激となっていいわけです。

こんな私でも、昔から変わらず抱き続けていた夢があって、そこがからむから悩みます。材料や道具がもったいないしというところより、今祖母から引き継がれてくるものが、自分の夢と大きく関わってきます。
悩んでも仕方ない、とりあえず親と相談するかな。