わかりにくい本2018/08/14 22:39

コミケの前日、すなわち10日に、仕事の依頼品受け取りと同時に、BOOK OFFへ行きました。そこで買ったのが、量子論をわかりやすく説明した漫画です。かつて出た時に買おうと思った本で、結局買わずに今買っているということは、当時買っておいてもよかったのではと思いました。ものすごく複雑なことは出ておらず、誰でも・・・かどうかは怪しいけれど、入門としては良書で、もっと先のことを知りたいと思いました。何かいい本はないかと、そのうち書店をあさることにします。
先駆けて、コミケで素粒子に関する本を見つけ、中身はやや専門性が高いと思いながら買ってきました。300円と安かったこともあります。本の最後に、母校の高校生に読んで欲しい旨が書かれていますが、どうやっても高校生ではこの内容を理解することはできません。いくら物理でもここまで入り込んだ解説は一切しないし、そもそも使われている数学が高校で扱う内容ではありません。
読んでみると、ここの説明が欲しい、という部分が、書いている人は理解しているという感じですっぱり抜けています。なぜこの現象を説明するのにこの数式が出てくる必要があったのか。おそらく素粒子に関してわからない人は、そこが一番知りたいはずなのに、そこの説明をすっ飛ばして、その先の数式の処理が中心になっており、結論から言えば素粒子をやっている人じゃないと説明の意味がわからない残念な結果に終わってしまいました。では素粒子をやっている人はこれを買うかというと、買わないでしょう。その人達には基礎理論だからです。知っていて当然、だから読んでもつまらない。
ここではもう一冊別の内容の本を買ったのですが、その本は写真だけで解説が一切入っていないというあまりに斬新な作りで、知らない人が見ても何一つ写真の意味はわからないだろうとしか言えないものでした。でもなぜ私がそれを買ったのかと言えば、それが親の元職場であり、私もそこの敷地内にかつて住んでいて、内情を詳しく知っていたからです。
そういうところを見ると、多分この人は何も知らない人への説明がうまくない人なのだとわかってしまいます。コミケの評論島というのは、あらゆるものがネタとして溢れている一方で、よくよく読んでみると、読み手を説得させようと努力していない本にもたくさん出会ってしまい、誰に向かって情報を発信しているのか、けっこう考えさせられてしまいます。お金を払ってコミケに参加し、本を作るのなら、わかってもらえることが第一にあるべきではないかと。評論島においてはです。なぜかって、そこしか発信していない情報がたくさんあるのに、それが自分たちにしか理解されないものだったら、発信していないのと同じだからです。
別に情報が主観的であっても構いません。ただ、主観的であることを客観的に伝えないと、主観的情報は本人にしかわからない、内部の人間にしかわからないものであり、結果的に読むに耐えないものができてしまいます。コミケはサークルの数が多い分だけ比較対象が多く、作り方がうまいところと下手なところの差がわかりやすい場所です。気をつけないと、客の目はあなどれないものですよ。

とは言いつつ、量子論の本に出ていたことの一部は素粒子の本である程度裏が取れたものもあり、この本が言おうとしていることを別の本で補うこともできそうです。そこまでして何がしたいのかと言えば、実は単に知りたいだけなんですが。縁のなかったような世界にこそ、自分の知りたいことは隠れているものですよ。