ベアIIIはどうなの ?2017/11/21 23:11

ベアIIIも少しやってみようと、結構前からぼちぼちやっております。IIIについては世間的評価は決して高くありません。最大の難点が効果音の爽快感と言われており、IIから初めてIIIをやったときの脱力感はひどいものです。しかし、これは慣れてしまうとそういうものかと思えるもので、続けているうちに気にならなくなります。むしろ、効果音が正確に出ないことの方が気になります。
IIIはいくつかのクソ仕様があって、それがあまりにひどいため、全体的な評価を下げていると思います。どうしてそうしてしまったのか、まったく意味がわからない仕様で、作り手の甘さがうかがえます。ひとつが、回復物資を敵が取ってしまうという仕様です。取る敵は一部の者に決まっていますが、確実な回復ができないというのはこうしたゲームにおいて苦痛でしかありません。回避方法として、回復物資はあらかじめ何かに隠れて入っているので、それを破壊しないようにしておく方法があります。ただ、やっているうちにどうしても壊れてしまうことは避けられず、すると回復物資を守る戦いが始まり、何のゲームなのかよくわからなくなります。これは最悪の仕様と言えます。
もうひとつが、Aのシステムです。IIはAの攻撃は、体力を減らして出すものでした。AにはAと横Aの二種類があって、Aは無敵技になっており、切り返しに使えます。当てない限り体力は減りません。で、切り返しに使うというのは至極初心者的な使い方で、熟練してくると、絶対にダメージを受けてしまう状況の回避に使い出します。攻略本に書いた言い方をすると、同じダメージを受けるなら、敵から受けるダメージより、Aで減らす方がよい、ということです。さらに熟練すると、飛び道具回避にまで使います。当たらなければ体力は減らないなら、無敵を利用して敵の飛び道具を避けることにも使えます。横Aは無敵ではなく、体力を減らしても強力な一発を当てることができます。
それがIIIになってどう変わったかというと、ゲージがたまっている状態で出す分には、体力は減らない仕様に変更されました。ゲージの回復は単純に時間で、回復に5秒かかります。で、たまっていない状態で出すと、最大で体力の25%が消費されます。25%はシャレにならない数値で、例えばAを出した直後にまた敵につかまってしまうと、Aで回避するよりボコられた方が痛くない、というわけのわからない事態が発生します。一方で、ボスへの効果的ダメージを与える手段として横Aが重要になるよう設定されており、体力が減らないで横Aを出せるのが、いわば超必殺技のような扱いになっています。そっちに目がいった結果、本来のAの使い方がうかつにできなくなりました。回避する方法は、Aを使ったらしばらく逃げ回ることです。まこと残念なことに、逃げ回ることがひどく簡単でもあります。
Aの使い方の背景には、ストII X の影響があると思います。他にも6ボタンのコントローラーを活かすべく、Xと簡単なコマンド入力で、旧来の横横Bの技の進化系が簡単に出せるようになっています。そんなため、説明書とは別刷りで、各キャラの技やコマンド紹介を出しています。実際それがゲームに使えるかというと、正直まったくいりません。要は、そういうものが必要な時代だったのです。複雑なコマンド入力が格ゲーの象徴になりつつあり、IIから格ゲーを強く意識したベアは、IIIになって、格ゲーのようなことが楽しめる必要性があったのでした。ただ、それが現在の視点から熟練されていたかといえば、決してそうではありません。

何より、ベアIIIは難易度が劇的に低いです。IIIの最高難易度である very hard は、IIでは normal 相当です。その代わり、パターン構築が最初はやや面倒です。何それ ?? というところが多くあり、初見では理不尽に感じるところもあります。こういうところも開発の甘さを感じます。理不尽を感じさせるとゲームでは負けです。
なぜ簡単かというと、敵の攻撃がゆるい、敵の数が少ないに尽きます。まず、敵が攻撃してきません。積極的でない敵がほどんどです。それと、IIで敵の基本思考であった、背後を取るように動く性質がなくなっています。そのために、敵に挟まれる事態がなくなり、何も考えず正面の敵だけ攻撃していても、それでどうにかなってしまいます。IIで問われた、状況の判断力はシビアに要求されません。それでも難易度を上げれば体力ばかりは増えるので、作業性が高くなってしまいます。ダメージを効率的に取れる方法さえわかってしまえば、IIIは何も考えずに正面の敵を殴っていればだいたいおさまってしまいます。ただ、最終面になるとそれでは対処しにくい敵が出てくるため、やっとそこからベアらしくなってきます。最後の面だけですが。

悪いところばかりかといえばそうでもなく、よい点もあります。動きの多様性がきき、展開が早くなりました。全部のキャラにダッシュが装備され、ダッシュ中はジャンプの距離が伸びます。また、初代のベアのように、ジャンプしてからでもある程度方向操作を受け付けるようになり、微妙で自由な動きが取れます。・・・でも逆に言えばそれくらいしかないような・・・。画面外の敵に攻撃が当たらなくなったため、画面端で敵をハメることはできなくなりました。これは評価できる一方、敵の思考がいらつきを増やす結果にもつながりました。画面内に敵がなかなか出てこないのです。一度敵が画面の外に出てしまうと、画面内になかなか戻ってきません。これがゲームテンポを恐ろしく悪くします。
ボスに攻撃を入れると、攻撃の反動で敵が後退するのは、まずまずではあります。ボスが無敵技を持たない者が増えたため、いわゆる我慢大会と呼ばれる、ぺしぺし一定間隔をあけて攻撃すると、相手が倒れるまで攻撃が入り続ける現象を効果的に防いでいます。ベアIIIは連続技の受付時間が長くなったので、元々我慢大会は難しいのですが、ボスには完全にできません。ベアIIでは、ボスが防御や無敵技を持つことでこれを防いでいました。しかし、どちらかというと、ベアIIの方法の方が評価できます。無敵技を持たないボスは、起き上がりに攻撃が入ってしまうので、起き上がりにジャンプキックを重ねると、100%当たります。つまり、画面内にボスがいる限り、起き上がりをジャンプキックでハメることができます。
ベアIIIになって、ジャンプキックの判定と威力が恐ろしく上がりました。ベアIIでは、Sammy を除いて、胴体付近の判定は弱く、威力も低いものでしたが、IIIでは判定はほぼ最強、威力もナイフで一突き分になっています。一発でナイフ一突きでも、三発当てれば刀で切っているのと同じで、時間制限のなくなったベアIIIでは力になります。使い方を覚えてしまうと、かなり使える技になります。いいのではありますが、すべてのボスはジャンプキックのみで倒せるほどまで強くなっているので、新たなハメを生み出しています。

実を言うと、ベアIIIはミスすらなしで、very hard のクリアは可能です。そういうところで、爽快にただ敵を殴りたい、簡単にクリアしたい欲求は満たされます。ただいくらプレイしても、ベアのシリーズを通してうまくなるかといえば、それはありません。初代のベアも、これではうまくなりません。複雑な状況判断の必要がないため、応用がきかないゲームです。開発としては、IIは難しすぎると感じたのかもわかりません。IIIの開発陣がIIをどれだけプレイしたのか考えるなら、おそらく私の方がやりこんでいます。それくらいの感覚だと、IIIを簡単にしたいのはあったでしょう。ところが恐ろしいことに、人間は鍛錬により、IIの難易度すら超越してしまうのでした。まぁ、今後時代がたっても、IIIが名作になることはないでしょう。やっぱり、マイナスが足を引っ張りすぎます。

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